第3章 税率と免税取引

第3章 税率と免税取引 3-1 標準税率:10% 韓国VATの標準税率は**10%**です(付加価値税法第30条)。1977年の制度導入以来、この税率は変更されておらず、日本の消費税(現在10%)と同水準となっています。ただし、税率が同じであっても課税ベース・免税品目・申告制度は大きく異なるため、日本の消費税制度と同一視することは避けなければなりません。…

第3章 税率と免税取引

第3章 税率と免税取引

3-1 標準税率:10%

韓国VATの標準税率は**10%**です(付加価値税法第30条)。1977年の制度導入以来、この税率は変更されておらず、日本の消費税(現在10%)と同水準となっています。ただし、税率が同じであっても課税ベース・免税品目・申告制度は大きく異なるため、日本の消費税制度と同一視することは避けなければなりません。

課税標準(과세표준)は原則として取引の対価(금전)であり、VAT額は取引金額に10/110を乗じて算出します。価格表示は消費者向けにはVAT込み総額表示が一般的ですが、事業者間取引では税抜き価格に加えてVAT額を別途記載した電子税金計算書を交付します。

3-2 ゼロ税率(영세율)

ゼロ税率とは、税率0%を適用しつつ仕入税額控除は満額認められる制度です(付加価値税法第21〜24条)。主な適用対象は以下のとおりです。

  • 輸出財貨:FOB条件で韓国外へ搬出される物品(関税法上の輸出申告が条件)
  • 国際輸送サービス:船舶・航空機による国際旅客・貨物輸送
  • 外国為替取引に伴う役務提供:外国から外貨で代金を受取る一定の役務
  • 外国公館等への供給:外交特権に基づく取引

日本から韓国への輸出は、日本側では「輸出免税」、韓国側では「輸入取引」として輸入VATが課されます。韓国の事業者がその物品を輸入して国内販売する場合、支払った輸入VATは仕入税額として控除できます。

3-3 免税取引(면세)

免税取引は課税対象であるものの、政策的理由から税率が免除される取引です。ゼロ税率と異なり、仕入税額控除は認められません。この点は日本の消費税における「非課税取引」に近い性質を持ちます。主な免税品目は以下のとおりです(付加価値税法第26条)。

分野 主な免税対象
食料品 未加工食品(生鮮食品・穀物・水産物等)、農林水産物
医療・保健 医療保険給付対象の診療・投薬、助産サービス
教育 認可学校・塾等の授業料・受験料
金融・保険 預金利息・保険料(一部例外あり)
文化 図書・新聞・雑誌(定期刊行物)、美術品の一次販売
社会福祉 認可社会福祉施設の提供サービス
土地 土地の供給(建物は課税)
郵便 国営郵便サービス(宅配便は課税)

3-4 日本企業にとっての実務上の注意点

デジタルサービスを提供する日本企業が特に注意すべきは、電子書籍・電子新聞の扱いです。印刷物の書籍・新聞は免税ですが、電子配信のデジタルコンテンツは原則として標準税率10%が適用されます。2015年の改正以降、この区別がより明確化されており、「紙では免税だからデジタルも免税」という誤解は禁物です。

また、韓国の医療・教育系サービスの免税は「韓国国内の認可事業者」が提供する場合に限定されるケースが多く、日本から提供するオンライン医療相談や海外教育サービスが自動的に免税となるわけではありません。取引ごとの課税区分の判定には、必要に応じて韓国の税務専門家への確認を推奨します。


📖 目次に戻る

第2章 課税対象取引と適用範囲 | 第4章 事業者登録制度


免責事項

本記事は、韓国の付加価値税制度に関する一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、税務・法務・会計上の専門的なアドバイスを構成するものではありません。記載内容は作成時点の情報に基づいており、法令・規則・通達等は随時改正される可能性があります。個別の取引や事案に対する判断にあたっては、必ず韓国の税務士(세무사)、公認会計士(공인회계사)、または国際税務に精通した専門家にご相談ください。本記事の利用により生じたいかなる損害についても、オプティ株式会社は一切の責任を負いません。