EU越境ECで避けられない「VAT登録」完全ガイド|いつ、どこで、何をすべきか
EUへの越境EC販売でVAT登録を怠ると罰金・アカウント停止のリスクが。国別の登録基準・IOSSの活用法・申告の流れをわかりやすく解説します。
「EU向けに商品が売れた!でもVATって何?登録しなきゃいけないの?」──越境ECを始めたばかりのセラーが最初につまずくのが、このVAT(付加価値税)の問題です。
結論から言えば、EU向けに商品を販売するすべての事業者は、一定の条件を超えた時点でVAT登録が義務となります。条件を超えても登録せずに販売を続けると、未申告税額の追徴・罰金・プラットフォームによるアカウント停止といったリスクが現実になります。
VATとは何か
VAT(Value Added Tax)は日本の消費税に相当する間接税ですが、税率・申告方法・登録義務が国ごとに異なる点が消費税と大きく異なります。EU加盟27カ国はそれぞれ独自のVAT制度を持ち、標準税率は17%〜27%と幅があります。
| 国 | 標準VAT税率 |
|---|---|
| ドイツ | 19% |
| フランス | 20% |
| イタリア | 22% |
| スペイン | 21% |
| オランダ | 21% |
| スウェーデン | 25% |
| ハンガリー | 27%(EU最高) |
EU域外セラーのVAT登録義務:2つのケース
ケース①:IOSSを使う場合(150ユーロ以下の小口販売)
2021年7月に導入されたIOSS(Import One Stop Shop)制度を利用すると、EU全域向けの小口販売(1件あたり150ユーロ以下)を1カ国の登録で一括申告できます。手続きの簡素化という点で越境ECセラーには大きなメリットです。
ケース②:各国でのVAT登録が必要な場合
以下のいずれかに該当する場合、各国での個別VAT登録が必要です。
- 150ユーロを超える商品を販売している
- EU域内の倉庫(AmazonのFBAなど)に在庫を保管している
- IOSSを使わずに販売している
- 法人向け(BtoB)の販売を行っている
VAT登録の流れ
- 対象国・対象制度の特定(IOSS or 各国個別)
- 必要書類の収集(法人登記証明、代表者パスポートなど)
- 各国税務当局への申請(通常2〜8週間で番号取得)
- VAT番号をAmazon等のプラットフォームに登録
- 月次/四半期ごとの申告・納税を継続
よくある失敗パターン
- FBAを使い始めた時点でドイツVAT登録が必要だったのに気づかず、数年分の追徴課税を受けた
- IOSSと各国個別登録を混同し、二重申告・二重納税してしまった
- 申告期限を失念し、延滞税・罰金が発生した
VAT対応は一度設計を誤ると修正コストが非常に大きくなります。最初から専門家に依頼することが、結果的に最もコストを抑える方法です。
参考:経済産業省「令和6年度 電子商取引に関する市場調査」