トランプ関税24%の衝撃|日本の越境ECセラーは何をすべきか

トランプ関税24%の衝撃|日本の越境ECセラーは何をすべきか

2025年4月初旬、トランプ大統領が日本への関税24%を発表した瞬間、私のもとには複数のクライアントから同日中に問い合わせが届きました。セラーコミュニティのSlackやLINEグループも一気に騒然となり、え、24%って本当?アメリカ向けの出品、全部止めた方がいい?という声が飛び交っていました。

私は大学時代にアメリカに留学していました。あの国の政策変動の速さ、一夜にして変わるルールへの慣れを、身をもって知っているつもりです。それでも今回の関税発表は、想定を超えるスピードと幅でした。

何が起きたのか:2025年4月の関税措置

トランプ政権は2025年4月2日(現地時間)、いわゆる「相互関税」政策の一環として、日本からの輸入品に対して24%の追加関税を課すと発表しました。中国製品には一部125%超の関税が課されており、日本はそこまでではないものの、かなり高い水準です。その後、90日間の猶予措置が発表され、日米交渉の結果として15%程度に落ち着くのではという観測も出ています。ただし本稿執筆時点での情報であり、状況は流動的です。最新の税率については必ずCBP(米国税関国境保護局)の公式情報をご確認ください。

セラーコミュニティの動揺と初動対応

発表直後、私が知る限り多くのセラーが取った行動は「アメリカ向け出品の一時停止」でした。特に単価1万円以下の低価格帯商品は、24%の関税が乗ると競合他国製品との価格差が逆転してしまう可能性があります。また、アメリカ国内でもトランプ関税に批判的な声が上がっているという点は見逃せません。特に輸入品に依存している中小小売業者や消費者からは不満の声が多く、政治的な圧力が税率引き下げ交渉の背景にあると私は見ています。

de minimisルール(800ドル免税)の行方

越境ECセラーにとって重要なde minimis(少額輸入免税)ルール——アメリカでは800ドル以下の輸入品は関税免除——が廃止または縮小される可能性が取り沙汰されています。2024年後半からすでに中国からの小額輸入に対するde minimis適用除外措置が始まっており、日本を含む他国への拡大も議論されています。現時点では日本はde minimisが維持されているとみられますが、楽観視は禁物かもしれません。

HTSコード分類の重要性

今回の関税騒動で改めて注目されているのが、HTS(Harmonized Tariff Schedule)コードの正確な分類です。同じ「雑貨」でも、HTSコードによって適用される関税率が大きく異なります。「中国産の素材を使った日本製品」の扱いは特に複雑で、原産地規則(Rules of Origin)の精査が必要です。誤ったHTSコードで申告するとCBPから追徴を受けるリスクがあり、私が関わるケースでもHTSコードの見直しをお願いすることが増えています。

中国産商品の特別な問題

日本で製造された商品でも、中国産の素材や部品を使用している場合、原産地の判定次第では中国向けの高関税が適用される可能性があります。特に繊維製品、電子部品、化学品などは要注意です。サプライチェーンを遡って原産地を確認し、必要に応じてメーカーから原産地証明書を取得しておくことをお勧めします。

DDP vs DDU:関税誰負担問題

アメリカ向け販売でのDDP(関税込み配送)とDDU(関税別途)の選択は、今まで以上に重要な戦略的判断です。24%の関税をセラーが負担するのか、バイヤーが負担するのか——これは価格設定と顧客体験の両面に影響します。現時点ではDDUで販売しているセラーはバイヤーへの事前説明を強化する必要があるでしょう。

EU・アジアへのシフトという選択肢

今回の関税騒動を機に、アメリカ一辺倒から脱却してEUやアジア市場にシフトするセラーが私の周りでも増えています。EUは別途EPR(拡大生産者責任)やPPWR(包装廃棄物規制)への対応が必要ですが、関税という観点では現時点でアメリカより安定しています。ドイツ、フランス、UK、オーストラリア、カナダなど、各市場の特性を踏まえた分散化戦略が、今まさに求められているのではないでしょうか。

セラーとして今すぐできること

扱い商品のHTSコードを正確に把握し、適用関税率を確認する。アメリカ向け価格設定を見直す(関税コストの転嫁またはマージン調整)。de minimisの動向を継続監視する。DDP/DDU選択を再検討する。EU・アジア向け販売チャネルの開拓を始める。

手前味噌ですが、私が運営しているオプティではHTSコードの確認から価格戦略の見直しまで、越境ECセラーのサポートをしています。関税の変化に振り回されず、自社の強みで戦える体制づくりをご一緒に考えましょう。

おわりに

アメリカの政策は、本当に一夜で変わります。留学中にNAFTAの再交渉を目の当たりにしたときから、そのことを実感していましたが、今回も改めて思い知らされました。不確実性の高い環境でビジネスを続けるには、特定の市場や制度への依存を減らし、常に次の手を考え続けることが大切ではないでしょうか。