越境ECの税務に携わっていると、常に制度の先を読むことが求められます。現在、EU VAT制度の最大の変革と言われているのが「ViDA(VAT in the Digital Age)」です。2025年3月に欧州理事会で最終合意に達したこの改革は、2030年代にかけて段階的に施行される予定で、越境ECセラーのオペレーションや税務コストにも少なくない影響を与えると予想されます。
ViDAとはなにか
ViDA(VAT in the Digital Age)は、欧州委員会が2022年12月に提案したEU VAT制度の包括的デジタル化改革パッケージです。2025年3月の欧州理事会での最終合意をもって法制化が確定しました。
背景には、EU加盟国のVATギャップ(本来徴収すべきVATと実際の徴収額の差)の深刻さがあります。欧州委員会の推計では、2022年のEU全体のVATギャップは約610億ユーロに上ります。このうち相当部分が、デジタル取引の不申告や越境取引の申告漏れによるものとされています。たとえばマルタのVATギャップは24.2%と加盟国中でも特に高い水準であることが知られており、加盟国全