越境ECコンサルの選び方|「稼いでいない人が教えている」問題を考える
越境ECを始めようとしている方から、よく相談を受けます。「YouTubeで見たコンサルタントに数十万円払うべきか迷っています」という内容です。私自身もこの業界に長くいますが、この問題は非常に根が深いと感じています。
「稼いでいない人が教えている」問題の実態
セラーコミュニティでよく聞く言葉があります。「あの人、実際には稼いでいないんじゃないか」。YouTubeやInstagramで「eBayで月100万円」「Amazonで脱サラ」を謳うコンサルタントが増えていますが、その実績を第三者が検証する方法はほとんどありません。
あるベテランセラーの方(月商500万円超)から聞いた話が印象的でした。「自分も最初は高額コンサルに払ったけど、教わった内容の半分はすでに古い情報で、残り半分はYouTubeで無料で見られる内容だった」と。プラットフォームのルール変更が年に何度も起きる今の時代、1年前の情報でさえ危険なことがあります。
2024年時点のデータでは、日本人の越境ECセラーのうち月商100万円を超えている方は全体の5〜10%程度と言われています。にもかかわらず、コンサルタントを名乗る人の数はここ数年で急増しました。この数字のギャップが「稼いでいない人が教えている」問題の温床になっているかもしれません。
高額コンサルに騙されるリスクと無料情報の限界
一方で、「無料情報だけで始められる」という考え方にも限界があると感じています。YouTubeで公開されている情報は確かに充実してきましたが、それはあくまで一般論です。自分のカテゴリ、自分の仕入れルート、自分のアカウント状況に合わせた判断は、自分でするしかありません。
無料情報の問題点をいくつか挙げると、情報が古い場合がある、自分のビジネスモデルに合わない情報が混在している、コメント欄の質問に答えてもらえない、試行錯誤のコストが増えるなどです。特にアカウント停止リスクが高まっているeBayやAmazonでは、間違った操作が致命傷になりかねません。
高額コンサルについては「払う価値があるケース」も確かに存在します。具体的には、コンサルタント自身が現在進行形で結果を出していること、自分より月商が大きく(理想は2倍程度)実態を開示していること、返金保証や実績の透明性があること、などが判断基準になります。
最も有効な情報収集:同レベルのセラーとのネットワーク
多くのベテランセラーが口をそろえて言うのが、「自分と同じレベル、または月商が1〜2倍程度のセラーと仲良くなって情報交換するのが一番効く」ということです。この言葉、私は本当にその通りだと思います。
理由は明確です。近いレベルのセラーは、同じ課題を抱えています。どのカテゴリが狙い目か、どのツールが使えるか、今どんなポリシー変更があったか、こうした現場情報はコンサルより早く、より正確に入ってきます。しかも無料で。
実際、私が知るトップセラーの多くはSNSやコミュニティでの横のつながりを非常に大切にしています。クローズドなDiscordグループやLINEグループで情報交換しているケースも多く、そこに参加できるかどうかが実力の分かれ目になっていたりもします。
税務・法務は「別物」として考える
ここで一点、明確にしておきたいことがあります。ビジネスノウハウを教えるコンサルタントと、税務・法務の専門家は「別物」です。
越境ECには、FATCA/DAC7によるプラットフォームからの税務当局へのデータ共有、EU・英国のVAT登録義務、各国のEPR(拡大生産者責任)対応、商標・知財管理など、専門知識が必要な領域が山ほどあります。これらをセラー経験者のコンサルタントに聞いても、正確な答えは得られません。
なお、日本の税務処理については税理士法人にご確認ください。越境ECの税務は非常に複雑で、本記事での解説は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務アドバイスではありません。
プラットフォームの急変に対応できるコンサルか
ACP(Authenticity Confidence Programme)、PSE/PSCマーク、MoR(Merchant of Record)モデルへの移行、プラットフォームによる出品規制強化。ここ1〜2年で越境EC環境は激変しています。2年前のコンサルタントが持っている知識が今も通用するとは限りません。
コンサルを選ぶ際には「最近のプラットフォーム変更でビジネスにどう対応しましたか」と聞いてみてください。具体的に答えられない場合、そのコンサルタントは現役ではないか、情報のアップデートを怠っている可能性があります。
コンサルへの支払い前に確認すること
高額コンサルが不要とは言いません。ただ、支払う前に以下を確認することをお勧めします。コンサルタント自身が現在も積極的に販売しているか。実績の透明性(スクリーンショットではなく第三者検証可能なもの)があるか。教える内容が最新のプラットフォーム環境に対応しているか。同レベルのセラーとの横のつながりを作る努力を先にしているか。
手前味噌ですが、私が代表を務めるオプティでは、越境EC事業者向けに税務・コンプライアンス面でのサポートを提供しています。ビジネスノウハウではなく、専門知識が必要な領域に絞っているのが特徴です。何かあればお気軽にご相談ください。